2017年3月10日金曜日

大統領の弾劾は、韓国の「終わりの始まり」か?




私たちが見ているのは、朴槿恵大統領の弾劾という事件そのものというよりは、「韓国の終わりの始まり」というドラマなのかもしれない。

もっとも、朴大統領を懐かしむ気持ちはあまりない。大統領に就任してから、まず打ち出した外交政策は、歴史問題で中国と共闘し、本来なら安全保障で協力する友邦であるはずの日本と戦うことだった。

「加害者と被害者の立場は千年経っても変わらない」と宣言し、あからさまに日本との友好を拒んだことは、今も記憶に新しい。中国の習近平・国家主席の協力で、伊藤博文を暗殺した安重根の祈念館も、ハルビンに創った。日韓外交に関係のない第三国への外遊の時でさえ日本を批判するなど、その敵意を隠そうともしなかった。

こうした「告げ口外交」が、韓国にとってプラスになったとは思えない。あまりにも露骨な反日姿勢については、同盟国のアメリカさえもうんざりし、ワシントンでは「韓国疲れ」という言葉まで生まれた。最終的には、北朝鮮の脅威に対処するための高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備へとかじを切るなど、アメリカや日本との安全保障における協力を目指したが、任期全般にわたってその迷走ぶりは際立った。

しかし、こうした政権運営よりも嘆かわしいのは、次の大統領が朴氏以上の反日政策を取る可能性が高いからである。潘基文・前国連事務総長が大統領選への出馬見送りを表明したことで、現在のところ、野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏が、次期大統領の最有力候補になっている。

文氏は廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時代に、大統領秘書室長を務めていた人物だ。廬武鉉政権といえば、「太陽政策」を引き継いで北朝鮮に対する経済支援を進め、日本に対しては、朝鮮統治時代に日本に協力したとされる人物の子孫から財産を没収する法律を制定するなど、露骨な「反日親北」政策をとった政権である。文氏はその政権のキーマンの一人だった。

それだけではない。文氏は2007年、国連で北朝鮮に対する人権問題の決議が採択されようとしていた際に、決議案を北朝鮮側に見せて協議したうえで、韓国を棄権させたという疑惑もある。北朝鮮に対してシンパシーを感じている人物であることは、このことからも明らかだろう。朴政権は日本にとって協力するのが難しい相手だったが、文大統領が就任すれば、ますます日韓関係は困難な時期を迎える。

さらに韓国について懸念されるのは、実はすでに、大統領が、国のかじ取りの最終決定をくだせるだけの力を、失ってしまっているのではないかという点である。最近の韓国に関するニュースを見ていると、まるで政府よりもむしろ大規模なデモを行う市民団体のほうが、権力者のように振る舞っているかのようだ。

朴氏の弾劾では、市民団体が100万人規模とも言われる「ろうそくデモ」を呼び掛けて、大統領を青瓦台から追い出すに至った。慰安婦問題でも、日本の公館の前に設置された慰安婦像を、政府の側は市民団体や世論に配慮して撤去できないでいる。そして、すべての団体がとは言わないが、市民団体のなかには北朝鮮の工作部隊と連携していると思われるものもある。北朝鮮にとっては、南北統一に向けた動きを自らのペースで仕掛けられる絶好の機会が訪れようとしている。

アメリカや日本とこれからも協力関係を維持して、自由や民主主義といった価値観を守ることを取るのか、あるいは北朝鮮に歩み寄る道を取るのか。最終的に韓国の運命を決めるのは、韓国の国民自身の選択である。日本としては、最悪の事態が起こり得るということを想定の範囲内に置きながら、外交や安全保障のかじ取りをしていくほかにないだろう。アメリカとの協力を深めながら、もし仮に核兵器を持った統一朝鮮が誕生したとしても、安全を維持できるような備えを考えておく必要がある。


Main photo by 松岡明芳 (松岡明芳) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons




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